君の背中

2016/11/30 Wed 11:17:01

これまでの君を作った驕りで
その先も欲しがってはいけない

不満そうな目を君がするまで
俺はそれに気づかなかったんだ

君は もう行くんだろう
古臭い家にサヨナラして

いつか また手を繋げるだろうか
俺が君を忘れられた日に


言葉

喪失デイブレイク

2016/11/29 Tue 11:16:05

疲れた体をベッドに潜らせて
布団の中に顔を埋めた
夜の暗闇に目を閉じれば
僕はもう 自分の場所が分からない

いつもの寝床だったのか
旅先の安宿だったのか
この静けさは もしかして
実家の畳の上だったか

明け出した空に目を開けば
一瞬の記憶違いと喪失感
味気ない天井にがっかりして
僕は また布団に顔を埋めた


言葉

Silent color

2016/11/28 Mon 11:28:00

オレンジより柔らかな
柿の実の淡い色

マンゴーより控えめな
青梨の薄い色

鮮やかな夏色もいいけれど
穏やかな秋色が美味しいよ

夜の静けさを舌で感じて
君と縁側で月を愛でたい


パレット100題

花色パレット

2016/11/27 Sun 11:17:00

君と僕とは同じ青だけど
僕は明度の低い青で

彼と彼女は同じ赤だけど
彼女は彩度の低い赤で

だけど

黄色のように鮮やかでなくとも
紫もオレンジも力強くて

白のように明るくなくても
黒の貴重さは引けを取らない

極彩色の箱庭の中で
全ての花々は美しい

景色を彩る一つの花で
僕も在れたら それでいい


パレット100題

壁の花

2016/11/26 Sat 11:16:02

棚の奥に仕舞われて
使われたことのないグラス
丁寧に飾られたまま
埃を被り出したお茶碗

不相応な物はいつだって
贈られた時の姿のまま
テーブルに並ぶこともなく
ただ緩やかに色褪せていく

きっと どうしようもないんだろう
持ち主が器でないんだから


言葉

団栗は個性を希求する

2016/11/25 Fri 11:16:01

既製品より下手くそでも
美味しいとは言えなくても
身近な誰かが作った物は
それだけで 味 がある

出来合いの物が好きならば
それもそれでいいだろうけど
他人が作った皆の物なんて
味気なくて僕にはつまらないな


言葉

戦う男の

2016/11/24 Thu 11:15:06

誰が裏切るか分からないから
人を簡単に信じないほうがいい

だけど

信用されていないと思えば
人は絶対に動かないもの

だから

心から信じたふりをして
人の気持ちは掴んでおけ

そして

自分の思いは隠しておけば
人に盗られることもない


言葉

lovely day

2016/11/23 Wed 16:47:03

寒々しい日々の隙間に
暖かい晴れ間が差し込んだ

こんな天気の良い休日は
家中の物を丸洗いしよう

やりたい事は他にもあるけど
まずは期待される事をしたい

全ての部屋が綺麗になれば
きっと 家族は笑顔になる

皆の喜ぶ顔を見たなら
私の気分も晴れ模様だ


言葉

茶瓶

2016/11/22 Tue 16:21:05

息が白くなるような朝は
湯気の立つ飲み物が恋しい

楽ちんなのは分かるけれど
冷たい水では寂しいでしょう?

寒いキッチンには私が行くから
二人で温かいお茶にしようよ

思い出色の織部の茶瓶と
今年も一緒に冬を過ごそう


パレット100題

深夜の格闘

2016/11/21 Mon 15:20:11

暖かい布団に籠っても
包み切れない顔が冷たい
息苦しさを我慢して
僕は僕の眠りを待った

胎児のように体を丸めて
浅く呼吸を続けていよう
冷たさを忘れるように
朝の熱を思い描いて


言葉

濡れ窓SNS

2016/11/20 Sun 13:53:11

雨上がり列車の隅っこで
僕は鉄の棒に凭れている
濡れた傘を避けあって
乗客は距離を取っている

寒暖差で潤んだ窓には
不特定多数の指の跡
きっと この手の持ち主達も
人と距離を置いていたくせに

他人同士の文字の会話に
僕は そっと微笑をもらした


言葉

夕立ち喫茶

2016/11/19 Sat 13:37:58

最寄りの駅の構内は
雨宿りの人で溢れている
冷えた体を持て余して
暖かい店でうろついている

たった今 通り過ぎた人も
さっき どこかで見た人だ
端から端を練り歩いて
晴れ間を探しているのだろう


言葉

冷たい朝

2016/11/18 Fri 14:57:23

雨雲に白んだ冷たい朝が
目覚めの僕を出迎えた
スケジュールに眉を顰めて
嫌々ベッドから這い出す

部屋の中でも手は悴んで
肩は自然と縮こまる
さっき 温めた牛乳も
5分とせずに冷めてしまった

予定はたくさんある筈が
頭は防寒の事でいっぱい
冷え性気取りの脳みそで
僕は今 何が出来るだろう


言葉

ヒステリックな数学者

2016/11/17 Thu 15:27:08

ああ 僕は今 ようやっと
最適な答えに近づいたのに

他に気を取られている隙に
いつの間にか彼女を見失った

僕が考えに浸る時は
皆は じっとしていてよ

僕を真似る影でさえも
視界に在れば煩わしい


言葉

ナーバスな音楽家

2016/11/16 Wed 20:18:15

人の集まる暖かい家より
独りの冷たい部屋がいい

暖房器具の唸る室内より
凍えるような夜の外がいい

どんなに身体が心地よくても
騒がしい場所では息ができない

ほら また今日も誰かの声で
浮かんだ音が壊れて消えた


言葉

失敗スープ

2016/11/15 Tue 18:34:27

その時々で味が変わるから
家庭の味は飽きないというけど

鼻の詰まった私の舌じゃ
まともな味も出せないな

きっと濃すぎた今日のスープを
彼は黙って飲み干した

まずは自分を労らなくちゃね
貴方の好きな物を作るために


言葉

優等生症候群

2016/11/14 Mon 16:35:48

頑張れていた理由は
それが好きだったからなのに
中途半端に出来てしまって
どこかで何かを勘違いした

 ほら だから称賛なんて
 当てにするなって言ったでしょう
 あんなものを真に受けたから
 自分の力量を見誤った

失敗しないでいられたのも
誰かが代わってくれたからだ
何でも出来る気になって
僕はもう どこにも戻れない


言葉

せっかちサンタ

2016/11/13 Sun 16:16:37

秋の収穫祭が終われば
街中は既に冬支度
暖かい毛皮とモミの木で
お店も道も埋もれている

紅葉の色も秋の味も
まだ残っている筈なのに
どうして みんな駆け足で
次の季節を追うのだろう

必要な準備だけにして
今ある季節を愛でようよ
どんなに風が冷たくても
冬で飾るのは まだ早い


言葉

読書日和

2016/11/12 Sat 15:03:32

どんな苦労をしただとか
どんな拘りがあるかとか

話の筋も知らないうちから
そんな事はどうでもいいよ

ストーリーの前置きほど
つまらないものはないな

早くお話を聞かせてよ
語りたがりのその口で


言葉

シアンの手帳

2016/11/11 Fri 14:54:39

美しいあの人のように
お洒落な言葉を並べたい

輝かしい彼の人のように
力強い言葉で飾りたい

そう思って真似をしても
薄っぺらい文字が浮かぶだけ

子供の頃の作文みたいに
何だか どこか嘘くさいな

誰かのように書きたくても
私は私のようにしか書けない


言葉

偽りオレンジ

2016/11/10 Thu 17:02:42

苺にオレンジ クランベリー
キウイに林檎 西洋ナシ

乾いてくる季節には
ビタミン豊富な果実が欲しい

僕の戸棚に詰められたのも
オレンジ風味のお菓子の山

本当に本当のオレンジなんて
ほとんど入っていないけれど

スッとする香りで部屋を包んで
寂しい冬を乗り切りたい


パレット100題

クロワッサン・デイ

2016/11/09 Wed 13:08:56

サクサク焼きたて 小麦の香り
袋に2つのクロワッサン

約束の日に食べ損ねた
愛した街のお洒落な味

二人で楽しみにした日を
きっと 貴方も忘れているけど

恋い焦がれていた あの味が
5年越しで追って来てくれたのだ

もう覚えていない約束を
新しい街で果たそうよ


言葉

ヒールを脱いで

2016/11/08 Tue 12:39:44

冷えた身体を湯で癒したら
温かさに風邪を引いた

冷え切った心も癒されたら
温かさに熱を出した

休んでいられない時は
随分 元気でいたくせに

戦闘服を脱いだ途端
甘ったれが顔を出したようだ


言葉

20時のバス停

2016/11/07 Mon 12:24:57

暗い夜の田舎道を
待ち合わせ先を目指して歩く
寂しげな街灯は疎らに照って
夜風は肌の熱を攫っていく

そんな冷たい土地であっても
この町は南より暖かい

息を潜めた家々にも
見知った住人の熱があるから
声の漏れる居酒屋から
温かい料理が匂い立つから

人通りのない細道でさえ
この町に沈む闇は怖くない

隣人も知れない街の陽より
故郷の暗闇が優しいのだ


言葉

いかさまクライシス

2016/11/06 Sun 17:18:11

大きな剣でモンスターをやっつけて
華麗な推理で犯人を突き詰めて
爆発の直前にはヒロインを助け
皆の困りごとは一挙に解決

毎夜毎晩 ソファーの上で
僕は不屈のヒーローだ
おやすみ前の僕ならば
どんな危機も乗り越えられる

達成感で胸を埋めたら
高揚したまま目を閉じよう
本当は何一つクリア出来ない
朝の自分を忘れるように


言葉

マイ・ロード・トリップ

2016/11/05 Sat 14:37:16

そこまで出来たらいいけれど
ここまで出来たら大丈夫

そう思って行動すれば
結果はいつも「ここ」で終わる

それでも自分で決めたなら
「ここ」まで行ける分だけマシ

他人に道を決めさせれば
どこにも行けずに今日が終わる


言葉

星の踊り子

2016/11/04 Fri 14:30:54

心からの感動は
文字なんかに変換できない

拙い賞賛の代わりに
目一杯の拍手とアンコールを


言葉

紅葉色

2016/11/03 Thu 17:42:36

雨に濡れた街の落ち葉が
石畳の上で揺れている
無造作な柄のタイルみたいに
芸術の秋を気取っている

昼空を夕色に染めた日々も
今日をフィナーレにさよならだ
最後くらいは観客の間近で
役者の顔を見てほしいんだろう

出演者を失くした空では
虹が拍手を送り出した
ハッピーエンドと手を繋いで
僕らもお家に帰ろうか


パレット100題

控え室の雛

2016/11/02 Wed 16:59:46

突拍子もない理想を羽に
今ある世界から飛躍したい
不要な物なら脱ぎ捨てて
自分を目一杯 身軽にして

その為に まず必要なのは
飛ぶ為の筋力をつけること
何も武器を持たないまま
防具だけ捨てるのは危うい

駆け出すための銃声ならば
いまだに息を潜めている
モラトリアムで翼を鍛えて
選手入場の時を待とう


言葉

猫とクジラ

2016/11/01 Tue 17:49:48

あなたの欲しいと思うものと
私の欲しいものは違う

あなたが住みがる場所と
私が住みたい場所は違う

だから ゆる~く繋がって
適度な距離のままでいよう

誰が何と言おうとも
僕らには これが丁度いい


言葉
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